世代間ギャップについて
2025年7月10日
こんにちは。
宮崎市大橋にあります「 生活介護事業所 」ねいろ の なかにし です。
これまでの働き方改革は、労働環境や待遇の整備を通じて衛生要因を高めることに重きを置いていたような感じがします。会社の安定性や給与水準、上司との関係性など働くうえでの前提条件を整えることで、働きやすさは向上してきたのです。
一方で、近年の調査で働きがいはむしろ低下しているらしいのです。この働きがいは仕事の意義への共感や成果への手ごたえなど、内面的な充実に関わる「動機づけ要因」によって支えられています。こうした要因が十分でなければ、仕事は単なる作業となってしまい、意欲も創造性も生まれにくくなるのです。
働き方改革の次なるステージは、働きやすさの先にある働きがいをいかに設計するかなのかもしれません。衛生要因の整備を土台に、動機づけ要因に目を向けて、働きがいを高めていく視点を持っていく必要があります。会社の理念への共感や挑戦する機会の創出、一体感のある風土など、【この会社で働きたい】と思える理由を作り出していくことが、これからの会社組織の持続的な力を左右するのかもしれませんね。
ここに面白いデータがあります。
統計数理研究所の「日本人の国民性調査」によると、無理な仕事をさせることもあるが、仕事以外でも面倒をよくみる課長と、無理な仕事はさせないが、仕事以外では面倒をみない課長のどちらが望ましいかという質問をしてみました。
1953年の調査開始から2000年頃まで、どの世代でも8~9割の圧倒的多数が「人情味のある上司」いわゆる仕事以外でも面倒をよくみる課長を望んだといいます。これは、戦後の日本で職場が共同体的な性格を有していたことが関係していたと言われています。
しかし、1974年生まれの世代あたりから、人情味のある上司の支持率が減り始めて、「ドライな上司」いわゆる仕事以外では面倒をみない課長を選択する人の割合が増え続けました。若い世代ほど、プライベートも含めた上司との濃密な関わりは煩わしいものとなり、限定的な関わりを志向するようになったと考えられています。
NHK放送文化研究所の調査でも、職場の同僚とのつきあいでは、若い世代ほど何かにつけて相談して、助け合えるような付き合いではなく、仕事に直接関係する範囲の付き合いを望む傾向があるようです。これは、近所や親せきとの付き合いも同様らしいです。この背景には、若い世代ほど地縁・血縁の共同体的しがらみを知らずに「選択的関係」のなかで育ったことがあるようです。職場の集団的な関わりを忌避する心理的傾向は、職場での飲み会強制参加をハラスメントと捉えるようになったことに表れていますよね。
さらに、会社に尽くす見返りに定年までの生活保障を得るという相互関係が期待できなくなったという要因もあり、職場の人付き合いよりも、自分のキャリアアップや趣味に時間を使う方が、合理的な選択になったような感じも見受けられます。
この選択的な人間関係の広がりは、人々に自由をもたらす一方で、人間関係の流動化と希薄化という副作用が生まれてきている感じがします。現代のこの情報化社会がそれをさらに加速させていくのかもしれませんね。
それでは。
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事務長 中西 茂寿
【公認心理師】【社会福祉士】【精神保健福祉士】
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公認心理師、社会福祉士を保有する事務長です。