価値に基づく支援について
2024年4月9日
こんにちは。
宮崎市大橋にあります「 生活介護事業所 」ねいろ の なかにし です。
孤独・孤立対策推進法というものが、4月1日に施行されました。
政府の調査では日本国民の4割が何かしらの孤独感を抱えているとの結果がでております。現代社会やネット上のSNS(交流サイト)で孤独を感じている人の対話相手として登場し始めたのが、人工知能(AI)です。
孤独は現代社会を象徴する問題の一つです。内閣官房が2023年に実施した調査によると、「孤独を感じる」と回答した人は39.3%にのぼっており、若年層やひとり暮らしの比率が高いとの結果が出ております。また、男女の未婚率についても50歳時点で男性で28.3%、女性で17.8%となっており、家族というものが当然のように存在するものではなくなったと感じております。
孤独というものは健康にも与える影響は大きいようで、世界保健機構(WHO)は孤独を公衆衛生上の課題と位置づけ、国際会合を立ち上げようとしております。そういったことから、時間や場所を問わずにいつでも対話できるAIの活用というのは孤独を和らげる一つの手段となるでしょう。しかし、ネット同様にAIそのものに依存するリスクというものもあると思います。
AIが人の感情にもたらす作用というのは未知数です。友人や同僚など周囲の人との相互関係、行政や支援団体によるサポートと組み合わせた仕組みがこれから必要となってくるでしょう。
さて、事実の取り扱いについては多くの見方や考え方があります。
例えば、「朝食を欠食する人は食べる人よりも、心血管死のリスクが40%高くて、昼食を欠食する人は食べる人よりも、全死亡のリスクが12%高い。また、1日3食食べている人では、隣接する2回の食事の感覚が4.5時間以下の場合、全死亡リスクが17%高い。」といった具合に、保健医療分野では様々な事実というものが存在しております。
私たち支援職では決して一人では利用者の方たちへ総合的な支援を行うことができません。それも事実の一つでしょう。そうした場合に有効なのは「多職種連携」といわれるものです。
私たちは利用者の方やその家族、利用者の方の意思決定を尊重して利用者の方にとって最善となる意思決定について関係者同士で連携を取らなければならないのです。価値に基づく支援をしていくことが大切だと思っております。
そこで重要なのが、ディスセンサス(Dissensus)というものです。これは、関係者全員の合意を得ることよりもお互いの価値観を尊重すること(分かり合えないことを分かり合う)です。
多職種の協働作業として、状況認識や価値の異なる事実を共有すること、それぞれの職種が持っているその事実、状況であるとか価値とかそれに基づきながら事実を取り扱っていくことが多職種の連携においては重要なのです。
インフォームドコンセントとは、説明責任を果たして合意に基づく支援ということだけではなく、1つの事実を伝えることではなく、様々な価値観に基づく事実(利用者の方が抱えている悩みや不安、そして生きづらさ、その家族が抱えている問題や状況、課題)を聴くことなのかもしれませんね。
それでは。
宮崎県宮崎市大橋二丁目167番地
特定非営利活動法人Re・Life
生 活 介 護 事 業 所 ね い ろ
事務長 中西 茂寿
【公認心理師】【社会福祉士】【精神保健福祉士】
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事務長プロフィール
公認心理師、社会福祉士を保有する事務長です。