特定非営利活動法人Re・Life

事務長の独り言blog

就労系の事業所が淘汰の波にさらされています

2024年12月2日

こんにちは。
宮崎市大橋にあります「 生活介護事業所 」ねいろ の なかにし です。

障がい特性のある方が利用している「就労支援事業所」。この事業所が淘汰の波にさらされているようです。
就労支援事業所とは、一般就労への訓練が出来る場所として、2006年施行の障がい者総合支援法で制度化されたものです。雇用契約を結ばずに工賃が支払われるB型事業所と、雇用契約を結んで工賃をお支払いするA型事業所があります。A型事業所においては、雇用契約を結んでいるために最低賃金が適用されます。
この事業所が物価高の上昇や人件費高騰に加えて、業績が悪い事業所を対象とした国の報酬引き下げの影響を受けて閉鎖に追い込まれる事態が発生しております。
宮崎県と宮崎市では、廃止や休止によって5カ所が閉鎖して、63人が離職を余儀なくされております。この閉鎖の原因となっているのが経営難です。事業収入によって賃金を支払えないいわゆる赤字の事業所が増えたのだと思います。国は公費に依存した経営体質を変えるために、赤字事業所の報酬を令和6年4月から減額しました。これにより、行き詰った事業所は撤退をせざるを得ない状況になったと推測されます。
この度の令和6年からの報酬改定により、利用者の方たちの労働環境が整い、安定した収益を上げられる事業所は今後も報酬が上がる可能性があります。しかし、利用者の方たちを確保しているだけで何も収益を上げられない事業所というのは今後は事業を継続していくことは困難になるでしょう。
よって、利用者の方たちに仕事をしてもらって、収益や利益を上げていく。つまりはビジネスとして成り立たせていかなければ、事業運営がこれまでよりも厳しくなることを意味しております。利用者の方たちと一緒に利益の出るビジネスをしていくこと。。。これがポイントとなってくるのです。
当事業所「ねいろ」では、就労系の事業所ではありませんので、収益が上がったり下がったからといって報酬に影響が出ることはありません。収益については、「生産活動に係る工賃」としてすべて利用者の方に平等に支給しております。
当事業所「ねいろ」で行っている生産活動は、封入作業、縫製業務補助、農作物の加工・販売です。すべて材料費となるものはありませんし、定期的に受注して納品できるものです。また、農作物の加工・販売においては、原価がありませんので近隣のスーパーなどに比べて値段も安く設定出来るため、売れ残る心配はありません。
本当は、もっと収益の出来る事業はあります。実際、「これは出来ますか?」とか「この仕事を任せたい」などといったお話はあります。しかし、当事業所「ねいろ」では、目的が利用者の方たちの工賃アップなどとは違うために無理をさせない範囲で行い、継続性のあるものに絞っております。
事業所として、収益の出る仕事はあります。社会から必要とされる仕事はたくさんあります。この見極めというか、判断というか繋がりというべきか。。。ビジネスとして成立させることの出来る能力のある人が就労系の事業所には必要だと感じております。
障がいのある方が作成したものだから購入する!といった人たちはほんの一握りの方たちです。
要は、社会が必要としているか、消費者が欲しいものなのか、お金を支払ってまで購入しようと思えるものなのかということが大切だと思います。
社会はそんなに甘くはないですよね。。。

「障がいのある方のうち、年齢や体力などの理由から、会社と雇用関係を結んで働くことが困難な方に対して、仕事や人と関わることを通じてより良い生活(QOLの向上)や生きがいに繋がるような機会を提供する」といった就労支援事業所の本来の意義を達成したいという意向もありますが、今後も労働環境が整い、しっかりとした安定した収益を上げられる事業所に有利な報酬改定は続くことが予想されます。

それでは。

宮崎県宮崎市大橋二丁目167番地
特定非営利活動法人Re・Life
生 活 介 護 事 業 所 ね い ろ
事務長 中西 茂寿
【公認心理師】【社会福祉士】【精神保健福祉士】