特定非営利活動法人Re・Life

事務長の独り言blog

悲しみを感じるということは正常なことです。

2023年4月25日

皆さん
こんにちは。

宮崎市大橋にあります「生活介護事業所 ねいろ 」の なかにし です。

乗客106人が死亡し、562人が負傷したJR福知山線事故で遺族の心のケアを担い、亡くなる直前に「遺産で基金をつきり、支援を続けてほしい」と言い残した臨床心理士がいたとのことです。
この思いは引き継がれて、遺族らが毎年主催する追悼行事の運営資金に充てられております。事故発生から18年です。「つらい立場の人に寄り添いたい」との願いは生き続けていると思います。
脱線事故の遺族らが催す「追悼のあかり」は2015年から続けられており、遺族のケアに尽力した臨床心理士の方は遺産によって設立された基金が運営資金を助成しております。
暗闇に揺れる光を見つめながら、大切な人を静かに偲びたいとの思いが伺えます。

人は死というものに直面すると次のような心理過程を経るとされております。
キュプラー・ロスは、死に至る心理過程として、
第一段階 「否認」
第二段階 「怒り」
第三段階 「取引」
第四段階 「抑うつ」
第五段階 「受容」
というプロセスを経ると論じております。ただし、すべての方が同様の経過をたどるわけではないとしております。
特にがん罹患者数は年々増加しております。2018年現在でみてみると、約85万人が新たにがんと診断されて、5年生存率の改善はみられるものの、年間約36万人ががんで亡くなっております。
「緩和ケアによる心理支援」
WHOによれば、緩和ケアとは生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、疾患の早期より痛み、身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアルな問題に関して、きちんとした評価を行い、それが障がいとならないように予防・対処することで人生の質(QOL)を改善するためのアプローチであると定義されています。
つまり、緩和ケアとは病気に伴う心と身体の痛みを和らげることであると思います。また、緩和ケアは本人や家族が「自分らしく」過ごせるように支えることを目標にしております。
「家族ケア-悲嘆のケア(グリーフケア)」
人生の最終段階から家族は死別を感じつづけております。これを予期悲嘆といいます。死後さまざまな心理反応を呈します。死別に伴うこれらの心理反応を悲嘆と総称します。悲嘆の心理反応の多様性や順番、強度や持続に関して、多様な悲嘆プロセスモデルがありますが、それには個人差があります。思慕の情を除いて、ほとんどの心理反応というのは6ヶ月以内には安定しますが、一部の悲嘆は強度が持続、6ヶ月以上遷延するなど複雑化して日常生活に支障をきたします。
このような悲嘆は複雑性悲嘆と呼ばれております。
正常の悲嘆、複雑性悲嘆に対する心理ケアを悲嘆のケアあるいはグリーフケアと言います。

深い悲しみを感じるのは正常なことです。
死を覚悟することは大変辛いことだと思います。感情の浮き沈みをも伴います。
しかし、死を覚悟することで、新たな理解を得て、成長することもできると思います。
私たちはそうした方々への心の平安とケアも時に支援しております。

それでは。
事務長 なかにし の独り言でした。

宮崎県宮崎市大橋二丁目167番地
特定非営利活動法人Re・Life
生活介護事業所 ねいろ
事務長 中西 茂寿【公認心理師】【社会福祉士】